新生産業のこだわり
今どき「洗濯機防水パン」って最近は一戸建じゃ見ないですよね。
はい、ウチ造ってますよ、集合住宅向けがメインですけど。
それもポリエチレン樹脂で、しかも再生材です。
そもそも、なんでポリエチレン(PE)なの?
ふつう防水パンの成型はPPかABSという樹脂を使用します。
そう、大手総合水回りメーカー様ですね。
では何故ウチがPEにこだわるのか??
「洗濯機防水パン」という製品が求める性能とPE自体の性能とのマッチングにその答えがあるからです。
ポリエチレン樹脂 (polyethylene=PE)
結晶性の不透明な熱可塑性樹脂で、ポリプロピレン(PP)とともにポリオレフィン樹脂(PO)と呼ばれる。
PEには製法の違いから大きく分けて低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)がある。
特にLDPEは柔軟で弾力性があり耐衝撃性に優れている。
また低温にも強く、水、酸、アルカリ、化学薬品類に対しても優れた特性を発揮する。
一方、低圧法で造られるHDPEはポリマー密度が高くLDPEに比べ硬度が高い性状を持つ。
いずれも電気絶縁性が良いことから電線被覆や鋼管被覆、多くは包装用や農業用のフィルム、中空成型による各種容器に幅広く用いられる。
割れちゃダメ!
薬品劣化もダメ!
騒音・振動も何とかしたい!
ウチの「洗濯機防水パン」は、充分な肉厚による圧縮強度の確保と抜群の耐衝撃性および防振・防音効果を合わせ持つ製品として、幅広いお客様より非常に高い評価を頂いております。
多方面で実績のある抗菌剤「ゼオミック」(JIS Z 2801 適合)も練り込んでおります。
何のために・・・
今でこそ地球環境とかリサイクルとかエコライフとか世間に溢れていますけど、プラスチック成型を始めた当初からウチはずぅ~と再生材を使い続けております。
もともとプラスチックの原料再生(リペレット)事業をしていたことがキッカケだったわけですが、う~ん、やっと時代が追いついて来た・・・というべきか・・・(エラそーに!!)
ちなみに「エコマーク」を取得した防水パンもありますよ(認定番号:03118152)
一般的に再生材はバージン材に比べ価格も品質も低く思われがちです。
もちろん商品開発当時はバージン材に比べ単価が安いというメリットはありました。
現在はご承知のように価格優位性なんてどっかに吹っ飛んじゃってますから。
でもね、再生材といっても限り無くバージン材に近いものなんですよ。
何しろ「洗濯機防水パン」の色目がナチュラル系だったりしますから。
ウチが扱う再生材は、バージン原料を使って製品をつくる時に発生する端材や不良、無菌工場内で副資材としてワンウェイで使用されたものなどがほとんどです。
ナチュラルで範囲内の性能をもつグレードを安定量で調達するとなると、一筋縄では確保は出来ませんよ、ホント。
品質にしても実際高いレベルの再生原料を造るとなると、それなりのコストとかなりの技術力が必要なんですね。
出所のハッキリしているブツを決まったルートから適正価格で安定的に!
これ大切です。
安価な単発モノに飛びついたりはしませんよ。
ロクなことないですからね。
基本、リペレットされた原料を業者から定期的に仕入れていますが、自社内にもリペレット・ラインを持っております。
ローテク
プラスチックの成型には製品の大きさやカタチによって様々な方法があります。
ウチではダイレクトプレス法というやり方で成型しています。
ちょうどドラ焼きをつくるみたいに、上下にパッカリと割れた金型の中へ、つきたてのお餅状の材料をポイッと放り込みます。
後は閉じた金型の中で頃合に製品が冷えれば出来上がり。
まるで前時代的な製法ではありますが、これでなかなか見事にカタチなったりするんですね。
人手がかかる分は生産性などの課題はありますが逆にそれがノウハウだったりし。
PEの場合、成型後の製品の変形や熱による膨張・収縮をコントロールする技術も必要です。
ここもメシの種ですかね。
僕つくる人・・・そして売る人
これまで製造業として色々なモノを造ってきましたが、この度ウチで造った製品を販売することになりました。
今までの製品を製造するだけの立場と市場への販売を手掛ける立場とでは、多くの部分で相容れないところがありました。
当然ですよね立場が違うんですから。
しかし今後はその部分を咀嚼しながら努力して行かなければなりません。
不安もありますが楽しみの方が遥かに大きいです。
何ごともポジティヴシンキングなもんで。
形態としては、メーカーからの製品製造委託と販売代理というものです。
さまざまな企業努力
最近「ウチの廃材なんとかなりませんか?」というお問い合わせが多いですね。
結論から言えば「何ともなりません」という場合がほとんどです。
ネックになっているのは排出現場でのキチンとした選別と分類が可能かどうか。
一番肝心なのは、再生された材料で「何」が造れるのかということです。
排出側は「オタクで造られている製品に混ぜて使えません?」的な言わばお任せ(おしつけ?)感覚の発想が多いみたいです・・・・残念ながら。
製品と材料にはマッチングがあり、製品としてカタチにするにはそれなりの手間ひまがかかるものなのです。
お金を付けて処分する方がコストがかからないかも知れません。
ましてや今の経済(経営)環境では理解していても、具体的なアプローチが困難な状況なのかも知れません。
多くの企業はISO等を運用し環境問題に積極的に取り組んでおられます。
レベルやスケールの違いはあれど、先の時代を見据えた努力はそれぞれに必要でしょう。
製造業にとって、はたして製造コストを下げることだけが唯一の企業努力となっている現実が本来の企業努力と言えるのでしょうか。